米西海岸の澄み切った青空にも譬えられるJBLサウンドは、JBLサウンド社(1946年にジェームス・バロー・ランシングが設立)の創業期に生まれたユニット群が原点です。
そのユニット群とは、フルレンジユニットのD130、D131、D216、高音用ドライバーユニットの175、275、375などです。
私が使用しているフルレンジのD123は少し後の1950年頃に生まれたユニットで、後にLEシリーズの開発者となる優秀な技術者B・ロカンシーが設計したという説が有力です。
またもう一つのLE85は、ステレオ時代を迎えた1960年代、さらなる Linear Efficiency を求めて開発されたLEシリーズの一つで、275を強化して生まれたユニットです。
LE85が持つ立ち上がりの良さと強烈な音響エネルギーは、高音用を加えた3Wayとせず、当初の設計通り2Wayとして使う方が堪能できると思います。
LE85はジャズファンであればD130との組み合わせを故岩崎千明氏は推奨されていましたが、先にD123を手に入れていた私はこれと組み合わせました。
D123はD130よりもエンクロージャーを小型にできるだけでなく、より低域まで伸びる柔らかめの音はクラシック音楽も聴く私には良い組合せでもありました。
JBLはツイーターとの2Wayを推奨していましたが、私はエネルギッシュなLE85を使いたかったのです。
ピアノのアタック音やハイハットなど金属を叩いた時の衝撃音、グランドピアノの低音弦の響きなど、その場に居るような臨場感あふれるパワフルなサウンドは期待通りで、
LE85の立ち上がり特性の優秀さと強烈な音響エネルギーは聴くたびに新鮮で今なお大いに満足しています。
当初はフルレンジのD123 1本で楽しんでいましたが、まもなくLE85のリアルなサウンドを目の当たりにして深く感動すると、もうこれを手に入れるしかないと即決しました。
LE85、HL91、N1200が自宅に到着した日は、帰宅するや着替えるのももどかしく、梱包を解きたい気持ちを抑えつつ、手元に引き寄せて急いで食事を済ませたことを懐かしく思い出します。
ずっしりと重い磁気回路、美しい結晶塗装、機能をそのまま形にしたような惚れぼれとするデザインは、まるで音の良さを保障しているように見えました。
私はそのようなJBLのユニットに接し、はじめてクラフトマンシップあふれる製品の魅力、海外の優秀な製品の魅力というものを知りました。
故瀬川冬樹氏がコンシューマー向けのJBLユニットをこよなく愛しておられたことをオーディオ誌上で知っていましたが、身をもって理解できました。
このJBL体験は、私が海外製品から受けた最初のカルチャーショックでもありました。(2002.8.18)
D123
D123用のエンクロージャーはユニットを購入した販売店のオリジナル品。板厚20mmのホモゲンホルツにチーク突き板仕上げのバスレフ型。外寸430(W)X410(D)X600(H)mm、容量79L。キャスターはDIYで後付け。サランネットもDIYでJBLカラーの生地に張り替えた。
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左:LE85+HL91、右:N1200
LE85、N1200用のエンクロージャーは自作。板厚18mmの合板でオイルステイン仕上げ。左はHL91のレンズ部でホーン部とLE85は内部にあるため見えない。N1200の前のアテネータはLE85のレベル調整用。N1200のHFレベルコントール(0/-3/-6dB)だけではLE85のレベルを下げ切れないために追加。
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上からCLD-100、C-90a、M-90a
C-90aとM-90aはパイオニアのAV用大出力セパレートアンプ。設計はかなり凝っていて、底蓋に至るまで銅素材がふんだんに使われている。その重量は合わせて40Kgに達する。C-90aはリモコン付。
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PL-L1+V15TypeIII
トラッキングエラーゼロをめざしてアームの駆動にリニアモーターを使用したパイオニアの意欲作。26Kgもある重量級プレーヤーである。スペースの関係でスピーカーの上に置かざるをえないが通常の音量ではハウリングとは無縁。トーンアーム右側の丸い物体は真鍮削り出しのディスクスタビライザー(1Kg)。
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17年ぶりに機器構成を変更
使っていたCD/LDプレーヤー(パイオニアCLD-100)が古すぎてPCで作成したCD-Rがで再生できなかったため、新しいプレーヤーに買い換える。今までは聴く時にいちいちPCを立ち上げる必要があったので今度はとても便利。
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DV6600
アンプとマッチする価格の手頃なプレーヤーを探した結果、マランツのDV6600(2005.11発売)にする。ゴールドのアルミフロントパネルはアンプのゴールド部分と同じヘアライン仕上げで色もぴったり同じ。ホームシアターをやる訳ではないが、HDMI対応、216MHz/11bitビデオDAC搭載であるのは安心材料。
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上位機は聴かない方が賢明
本機はテレビ接続を前提としているためか本体表示パネルの情報は極端に少なく、演奏中のトラック番号が非表示など不親切。余談ですが、ついでに発売されたばかりのDENON DVD-2930を試聴したところ、低域の座りが非常にしっかりしているのがとても印象に残りました(聴かなきゃ良かった)。
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コンポーネント | メーカー | モデル | 仕様など | 重量 | 時期 |
Full Range Speaker | JBL | D123 | 98dB, Φ30cm | 4.0KgX2 | '74.9 |
HF Horn Driver | JBL | LE85 | 108dB, 500Hz〜20kHz | 5.4KgX2 | '74.11 |
Horn & Acoustic Lens | JBL | HL91 | | 2.3KgX2 | '74.11 |
Dividing Network | JBL | N1200 | Crossover f=1200Hz | 1.8KgX2 | '74.11 |
Control Amp. | PIONEER | C-90a | リモコン付 | 11.2Kg | '89.1 |
Power Amp. | PIONEER | M-90a | 実効200W+200W | 28Kg | '89.1 |
Analog Player | PIONEER | PL-L1 | Linear Tracking Arm | 26Kg | '80.1 |
Pickup Cartridge | SHURE | V15 TYPE III | 針圧0.9g | | |
CD/SACD/DVD Player | MARANTZ | DV6600 | | 2.5Kg | '06.9 |
<好きなジャンル>バロック、古典派、ロマン派までのクラシック。バッハ、ベートーベンが好みですが、シューベルトやシューマンの歌曲も良く聴きます。
ジャズはピアノトリオ、ピアノソロなど小編成もの。最近、ソプラノサックスもいいなと感じています。
その他 50'sアメリカンオールディーズも。
<愛聴盤>リヒターの「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」「ミサ曲ロ短調」「クリスマス・オラトリオ」「ブランデンブルク協奏曲」「管弦楽組曲」「音楽の捧げもの」、グールドの「ゴールドベルク変奏曲」「イタリア協奏曲」「フーガの技法」、ワルターの「交響曲第5番」(ベートーヴェン)、ベームの「魔笛」、ディスカウの「詩人の恋」、オスカーピーターソントリオの「We Get Requests」(スイング・ジャーナル主催 第2回1968年度ジャズ・ディスク大賞 最優秀録音賞受賞)、キース・ジャレットの「ルータ&ダイチャ」(スイング・ジャーナル主催 第7回1974年度ジャズ・ディスク大賞 最優秀録音賞受賞)、クレバノフの「ラテンムードデラックス」、パコ・デ・ルシアの「二つのギターによるフラメンコ」など。
D123のセンタードームを修理(2002年夏)
しばらくお蔵入りしていた装置を引っ張り出したのを期に、つぶれていたD123のセンタードームを修理しました。
またこれに合わせ、破損していたスピーカーボックスの入力端子とバッフルアダプター(38cm口径ユニット用の穴に30cm口径ユニットを付けるためのサブバッフル)もリニューアルしました。
D123を修理してくれそうなところをインターネットで探したところ山形県鶴岡市に、多くのオーディオメーカーや輸入商社などとスピーカー修理の契約を結んでいる実績を持つ「オーディオラボ」(オガワ電器商会)があることを知りました。
偶然にも毎年帰省している家内の故郷でもあったので、帰省した折('02.8)に修理を依頼しました。
お店に伺ったときは小川社長はじめ皆さんから暖かく迎えていただきました。
案内された2階の試聴室は、ハイエンドオーディオ機器がずらりと並んだ、木のぬくもりを感じる空間でした。
小川社長は今でもオリジナルのスピーカースタンドを開発して特許を申請するなど、とても意欲的な方でした。
スピーカーの修理については、インターネットのおかげで全国から直接依頼されることが多くなっているとのことです。
お話をしているうちに社長とは少なからぬご縁があることも判り、人のつながりの面白さをつくづく感じています。
また担当のSさん(女性)は社長も絶賛するスピーカー修理のプロですが、何と私と同じパイオニアの出身であることも判り、重ねてのご縁に改めて驚いてしまいました。
小川社長とは懐かしのJBL OLYMPUS S7 や最新のBOSE 55WER(これにはなかなか驚いた!)などを聴きながら、楽しくオーディオ談義することができました。
とくに小川社長はフロア型スピーカーでも床からなるべく高くセッティングして聴くことを熱心に推奨しておられます。
D123センタードーム修理
凹んだセンタードーム
子供が小さい頃に何度もぶつかってでこぼこになってしまったD123のセンタードーム。
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オーディオラボ
オーディオラボの店先。手前のボルボは我が940。お会いできなかった店長はボルボ850セダンのオーナーとのことで店先で見かけました。
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修理は帰省中にできる予定でしたが、センタードームの在庫が切れていたため預けて帰ることになってしまいました。
ついでにいろいろと調べてもらったところ、一方のユニットのエッジ部からコーン紙に掛けて長さ2cmほどの亀裂があることが発見されました。
この修理は理想的にはコーン紙の張替え(張替えるとなると左右一緒!)となりますが、何しろ1枚44,000円もする(ユニット購入価格よりも高い!)ので、張替えはあきらめて裏側を塞いで空気が漏れないようにだけしてもらうことにしました。
JBLは発売して50年以上も経つ現在でも、なおパーツの供給体制を整えているのには驚きました。
修理さえすれば安心して長く使える製品。これこそメーカーの良心でしょう。
おそらくJBLのユニットはいまだ世界中で健在なのではないかと思います。(2002.9.29)
修理が終わったD123
前面
'02.9.29、一か月半ぶりに戻ってきたD123。センタードームの調達に時間を要したとのこと。修理代は片側あたり、センタードーム5,000円+交換工賃3,000円(税別)。 ※料金は当時のもの
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背面
磁気回路をオーバーホールして鉄粉除去などのクリーニングもしてもらっている。
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前面横
D123ユニットの薄さが良くわかる。
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背面横
結晶塗装のマグネットカバーとダイキャストフレームが美しい。見ることもない裏側の部分だが、クラフトマンシップを感じる作りとグッドデザインがJBLらしい。
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破れを補修
破れてしまったコーン紙は裏から塞いで空気が漏れないようにしてもらう(修理代はサービス)。しかしコーン紙自体の劣化はかなり進んでいいると思わねばならない。
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美しいセンタードーム
美しいアルミセンタードーム。当たり前だが凹んでいるよりもはるかに良い音が出そうに思える。
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ダンパー部
滅多に見ることのないダンパー部。
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スピーカー端子リニューアル
破損したスピーカー端子
経年変化でプラスチックがもろくなり、割れてしまったスピーカー端子。
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新しいスピーカー端子
フォステクスの金メッキスピーカー端子T150。ネジ式のかなり重たいパーツである。定価2,000円、購入価格1,660円で左右あわせて3,320円(税別)。
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性能も高級感もアップ
ネジをまわしてケーブルを精密に圧着する仕組みは接続の安定性も含め秀逸。以前の端子に比べると性能も高級感も大幅にアップ。
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バッフルアダプターリニューアル
自作バッフルアダプター
板厚12mmの合板を使用。カットはホームセンターに依頼。有り合わせのウォルナット色オイルステインを塗装。できれば黒が良いと思う。屋外で撮影したため明るく見える。90cmX45cmラワン合板1,150円+カット代400円(税別)。
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バッフルに装着
バッフル板のグリーンの塗装はこれまで良いとは思っていなかったが、バッフルアダプターをウォルナット色にしたら違和感がまったく無くなった。内部に見える角材は上下、左右、前後方向を補強する4センチ角のホモゲンホルツ。
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蘇ったスピーカーシステム
修理済みのD123を新しいバッフルアダプターにマウントして美しい姿に蘇ったスピーカー。なお、ユニットを取り付けるネジを新品に換えようとしたがバッフル裏側のネジ受けがISOピッチでないため新しくできなかった。
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JBLプレート自作
専用の部屋を確保(2005年春)
新しく確保した部屋にオーディオ装置、クラビノーバ、折り畳み自転車2台、パソコンなどをセッティング(2005.5.1)。
間接照明に切り替えて、好きな音楽を掛けながらコーヒーやビールでも飲めば、しばしほっとできる空間になります。
仲間との交流に絶好の場となっています。(2005.6.12)
仲間との交流に活躍
中央はクラビノーバ(YAHAHA CLP-156)。上の飾りはMy S90のフロントグリル。地球儀は照明器具も兼ねる(マヒナグローブ社の「クラシックグローブ」)。
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耐久性高いプレーヤ
アナログプレーヤを見るとついレコードを掛けたくなるから不思議だ。1980年の購入だが自動演奏ストップとアームエレベーションが動作しない他はまったく問題なし。
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存在感溢れるアンプ
1989年の購入にもかかわらず、いまだに古さを感じないデザインは大したもの。マスを感じさせる漆黒に輝く前面パネルはじつに堂々としている。
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折り畳み自転車
部屋に入れた2台の折り畳み自転車。2台とはいっても折り畳んだ状態で縦に吊るしているので意外に場所は取られない。キャリーバッグはホコリり除けのカバーに利用。
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〜 オーディオ交流 〜
☆'ボルボP1800オーナー羽澤さんのオーディオルーム訪問
本サイトのゲストブックでのオーディオ談義がきっかけでお近づきになったVOLVO P1800オーナーの羽澤さんはタンノイ ウェストミンスター・ロイヤルとマークレビンソンという興味深い組み合わせで音楽を楽しまれています。
1998.11にお宅へお邪魔して聴かせていただいたときの模様を「ボルボ仲間/訪問記」に掲載しています。
☆「及川公生のオーディオ、ちょっといいもの見つけた」
「及川公生のオーディオ、ちょっといいもの見つけた」は、日本のジャズジャーナリズム界の重鎮とジャズ録音家によって立ち上げられたジャズ評論とオーディオ評論のサイト「JAZZ TOKYO」のオーディオコラム。
ボルボ仲間の前田さんより、ジャズ録音家の及川公生様をご紹介いただいたことがご縁でリンクさせていただきました。(2009.4.7)
<及川公生様からいただいたコメント>
オーディオのページを拝見しました。
オーディオに対しての真摯な取り組みに感激しました。
根底にある機械に対する愛情が感じられます。
名器とは、こういうものですね。何時まで経っても性能を発揮し、色あ せない感動を与え続ける事は、さすがに名器故のなせる技です。
それを愛情を持って使いこなし、変な情報に流されない取り組み方に、オーディオファンとしての心意気を感じました。(2009.3 文責:岡村)
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