VOLVO760の設計者たち

940 Estate - レポート

〜 VOLVO760の設計者たち 〜


設計チーム

1982年に完成したVOLVO760GLEは、開発期間に7年をかけたボルボ社のフラッグシップ・モデルです。 開発チームの中心者であり、ボルボ社の重役でもあった、ヤン・ウイルズガードは1930年、ニューヨークのブルックリン生まれで、スウェーデンのイェーテボリ工業美術学校に在学中だった20歳のときにボルボに入社しました。 彼はボルボ創立者の一人であるアーサー・ガブリエルソンの下で30年以上働いてきました。 以下、尊敬すべきヤン・ウイルズガードが車作りについて語った言葉をご紹介します。

左の写真はデザイン・センターの幹部たち。左から、ヤン・ウイルズガード部長、ラッセ・ペッテルソン(インテリア・デザイン・マネジャー)、マッツ・ブロベック(管理およびワークショップ・マネジャー)、ヤン・レイク(チーフ・プロジェクト・エンジニア)、ロルフ・マルムグレン(エクステリア・デザインU・マネジャー)、ベリス・ラーソン(秘書)、スティグ・フォーク(エクステリア・デザインT・マネジャー)。

設計チーム 設計チーム


ヤン・ウイルズガード語録

「スタイリングというのは、シャシーの上にちょっとひっかけておけばよいってものじゃない。 デザインとは、スタイリングも含めてだが、会社の哲学を、技術から居住性や安全性にいたるまで、反映させねばならない」

「現代の自動車がいかに複雑であるかを充分に心にとめた上で、わが社の哲学はきわめて単純かつ自然だといえる。 車は、上等のワインのごとくありたい。 年を経るにしたがって、さらによくなっていく ・・・・・ という点でだが、すっきりしたライン、魅力あるプロポーション、機能的な特性などを含め、時代に左右されないスタイリングこそ最も大切なものだ」

「車の内部についていうならば、これはご婦人方の靴にたとえられる。 中は大きく、外は小さく、というわけだ。 そのほか、すぐれたドライビング・ポジションや快適性、ビルとインされた安全性、良好な視界など、むろん重要なことはいうまでもない」

パッケージレイアウトの検討 ドアライニングの制作 クレイモデルの制作

「われわれは、経験から抗力係数の低いボディは一般に丸みを帯びていることを知っている。 しかし、そういう形状には別の問題点がある ・・・・・ 」

「室内の広さという点で、もっと四角い形の方が実用的だし、このほうがライトやバンパーの高さなどの諸条件を満たしやすいのです。 それに、外観だってずっとエレガントだし、流行おくれになる度合いも小さい ・・・・・ 」

「だから、われわれは迷うことなくボックス形状から始めたのであり、これを削ったり盛ったりしながら、ボディのあらゆる部分にわたって丸みを研究してみた。 その結果、ある部分の曲率を変えても、抗力係数にはなんの影響もおよぼさないことを発見した。 むしろ丸くすることによってヨーイング特性が悪化するばあいがあることもわかったのだ ・・・・・ 」



リアピラーの角度について

「これがアメリカ車のスタイリングに似ているとしたら、それは機能上の理由によるものにすぎない。 このデザインは、より実用的で、美的観点からも快く、空力効果も高い。 このピラーのデザインによってもたらされるさまざまな利点 −  広い室内、トランクルームへの容易な出し入れ、短いリア・オーバーハングとそれによる重量軽減 − などを、われわれは選択したのだ」

760GLE フロント 760GLE フロント 760GLE リア
760GLE サイド 760GLE フルオープン


760/740から960/940へ、そして960リムジン

760/740は960/940へとマイナーチェンジされたが、その究極として960リムジンが作られました。960リムジンはスウェーデン国王も愛用しているそうですが当然でしょう。それにしても、なんと節度あるたたずまいでしょうか!!

960リムジン


参考資料
カースタイリング 1982 AUTUMN(株式会社三栄書房)
ワールド・カー・ガイド7 VOLVO(株式会社ネコ・パブリッシング)